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マセラティクアトロポルテと暮らしてみませんか~ガンディーニの疾駆するオブジェ:パワーステアリングについて

 本項は、ちょっと軽めのネタ。ガンディーニ・クアトロポルテのパワーステアリングばなし。
 初代ビトルボ時期にはパワステ設定はありませんでしたが、この時期のステアリングギアボックスユニットは2箇所とも「バンド留め」であったため、スエ切りなどでロードを掛けると、ステアリングギアボックス自体がズレてました(笑)。 もう、アライメントもヘチマもあったもんじゃありませんな。で、改良版で、本体のアルミ鋳物部にようやく取り付け用のダボが備わり、キチンと位置決めが出来るようになった・・・って、あたりまえダロ、ふつー(泣)。 デ・トマソ期でも、メカニカアッティバ(コレは別の機会に説明します)化された、222系以降の2.8リッターものは、もう、ちゃんとしてます。ところが、このパワステ、切ると不気味な「フシュル・ふしゅる」音がしますね。 これは、パワステの油圧経路をオイルが通る音で、使用上問題はないのですが、やっぱ、不気味がるお客さんが多かったとみえて、フィアット期になって出た、ガンディーニのクアトロポルテやギブリ以降のモデルでは、油圧経路を長くとり、 パワステオイルクーラーまで装備して、「ふしゅる音(笑)」が出にくくなりました。またこのオイルクーラーの恩恵か、フィアット期のものは、パワーステアリング本体の寿命が長くなったようには思います。

 このパワステユニット自体は「TRW社」製で、欧州車用としては、まっ、標準レベルのものですが、基本的に日本国内でのリビルドができないため、ダメになっちゃった場合は新品のフルアッセンブリー交換になります。

 こんなコトにならないようにするためには、まず、ステアリングのスエ切り(車体が停止した状態でグルグルとステアリングを回すこと)&フルロック(いっぱいに切ってるのにさらに、キューっと切り込むこと)を出来るだけしないよう、 気をつけたいモノです。また、車庫入れ時に多くの「切りかえし」を必要とするのも考え物です。出来るだけ回数を減らす工夫が必要です。
 さらに、たとえ新品を装着しても、一発でダメになるのが、コラム底部の「ハラ打ち」。段差を乗り越える時などは、細心の注意を払うべきです。実は当店が「マセラティのシャコタン化」を嫌う理由のひとつがコレなんです。 最初から、充分にヒクいんですよ。パット見た目は余裕がありそうですが、実際の最低地上高はホント低い。ガンディーニのクアトロポルテも例外ではありません。このコラム底部のハラを打ちますと、 ステアリング方向にいってる軸のナイロンブッシュにクラックが入り、最悪の場合、オイルが大量に吹き出ます。
とにかく、ジェントルになめらかに、ステアリングさばきが出来るよう、お盆を回して練習だあ!通常の保持位置は10時10分を厳守、必ず「順手」でキレイにさばく、クランクコースなどでも、ステアリングの復元力は、 適度で絶妙だから(コレがメカニカアッティバフロントサスシステムの、実は大いなる長所:他のクルマとは根本的に違うと思う)、きっかけを与えるように「切る・もどす・切る・もどす」、コレでキレイに曲がる。 コーナーの立ち上がりでは、常に(軽く)アクセルON。
 ステアリングさばきとアクセルワーク、この2つの絶妙のコンビネーションを駆使して走れば、結構ハヤいはず。よく、メルセデスなどの「シャーシがエンジンに大きく勝ってるクルマ」から、マセラティに乗り換えると、 「不安」をクチにするお仁がいますが、ソレはマセラティ用の乗り方をしてないだけ。
ムカシ、自分のスパイダーザガートで、千葉の房総半島の山越えワインディング走行を敢行。あんまり、痛快なんで、右へ左へダンシング。家に帰って、車庫みたら、パワステがオイル漏れ(泣)。 パワステをAssy交換しましたとさ、ちゃんちゃん。

・・・皆さんも、あまりムリはなさらぬよう(笑)。
でも、おもしろいよ。


 続いては、パワステばなし関連で、忘れちゃならない「パワステポンプ」のハナシをしておきましょう。

 デ・トマソ時代より、ガンディーニのクアトロポルテの最終エボにいたるまで、「TRW」のパワステギアボックスを使っているコトをお話いたしましたが、パワステポンプには言及していないのを思い出しました。
 マセラティ、「パワステポンプ」はイキません。少なくともマイクロ・デポでは、かつて壊れたの、一台もないと思います。ポンプ周りのキモはどちらかというと、Vベルトですね(エボ系とV8は除く:これらはリブ付き平ベルトを採用、 テンショナー付)。コレは交換・調整にホネが折れますので、そのまんまになってる個体が多いようです。但し、他のVベルトに較べると、パワステベルトはリーチが短いので、あんまり伸びないし、イタまないです。 エアコンのコンプレッサーが完全にロックしたりすると、そのサブプーリーで駆動してますのでパワステベルトもトビます。
 パワステの油圧系統では、昨日のパワステギアボックス本体のほかに、高圧ホース・低圧ホースの各ホースは経年で劣化します。モレを見つけたらスパっと交換したいところですね。

 かなり旧いハナシですが、一昨年末のコーンズさん調べで、クアトロポルテ用のパワステギアボックスAssy部品代は¥303,000(税抜価格)です。交換と、アライメントで、最高5万円程度だと思いますので、現在のところ、「総額37万円コース」としておきましょう。
 ちょっと前までは、本体価格が21万円だったので、「総額26万円コース」だったのですが、昨年秋までののユーロ高を背景とした、パーツセンターの二度にわたる価格改定のあおりでこの「37万円コース」となりました。 もうスッカリユーロも安いんだから、そのうち下がるコトを期待しておりましょう(それでも、きっと高いコトは高いんだろな:笑)。

クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・各部駆動系統とサスペンションについてに続く
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