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マセラティクアトロポルテと暮らしてみませんか~ガンディーニの疾駆するオブジェ:エンジンについて③ 「水冷」その基本原理とヒーティングシステム

 水冷90度V型6気筒(8気筒(DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボ、これが、ガンディーニ・クアトロポルテのエンジンスペックですね。

 この項では、上記エンジンスペックの中から冒頭の「水冷」について、引き続き詳解いたします。

 「水冷」。
 エンジン冷却理念の一つです。エンジンの「筐体(本体ケース)」たる、クランクケースやその上に乗っかるシリンダーヘッド(ケース)には、主に、シリンダーを取り囲むようにして、 冷却水の経路(貫通穴)が開いており(これをウオータージャケットといいます)、この中を「エチレングリコール水溶液」たる、LLC(ロングライフクーラント)が流れ、 これらケースに伝導してくる、摩擦熱(シリンダー内壁と高速往復運動を繰り返すピストンリングがコスれることにより発生する熱や、バルブ開閉にともない周辺メカが発する熱等)を奪って、 さらに熱を帯びたLLCは、ラジエターまで到達し、そこで適温に冷却された上で、またエンジン内部に経路に戻っていきます。コレの繰り返し。ちなみに、皆さんは、オーバーヒートには過敏ですが、 実はエンジンにとって最も過酷なのは、オーバークールであることをご存知ですか?東京でも、真冬には氷点下3℃や5℃になることも珍しくありません。このような気候下で、 暖気無しでいきなり爆走(笑)すれば、ひ弱なイタ車どもなどは「イチコロ」でぶっ壊れます。そこで、先日このコーナーでご説明した、「ラジエターサーモスタット」が登場するわけです。 そもそもこれは、何のために付いてるのかと申しますと、エンジン内部に循環するLLCを早期に「適温:80℃以上」にもっていくためのメカなんです。このサーモスタット、 ビトルボエンジンの場合には73℃で開くよう設計されております。せめて、水温計が動き出すまでは、走行を控えて頂ければエンジンの寿命を延ばすには都合がいいんですけどね。 まあ、たいへんな「騒音(泣)」を発生させるマシン達ですから、マンション住いのお客さん方は、よっぽど心臓に毛がはえてないと、充分な暖気が出来ないかもしれません。 そのような場合は、走行開始後はそろそろと、おもて通りにでるまでの間、30~40Km/hくらいの速度で、できるだけ「定速(ギクシャク走らない)」を保って暖気しながら走行すれば大丈夫です。 ついでに云えば、水温が75℃以上になったからといってスグに全開走行では、マシンがあんまり可愛そう。クルマはメカの塊ですから、エンジン以外の部分、例えばミッション内部やデファレンシャルギア 内部なども定速走行しながらジックリと暖めてやりたいところですね。この辺のハナシはおいおい別項にて詳しくやります。

 この「水冷」方式を一歩推し進めたものに「油冷」というのがありますが、80年代初頭にスズキ製のオートバイなどで試されましたが、自動車用としては今ひとつポピュラーにはなってこないようです。

 また、「空冷」方式というのも、聞いたコトはあると思います。これは、オートバイの世界では、いまだにポピュラーなエンジンの冷却方法ですね。クルマの世界では、 90年代初頭までのポルシェ911シリーズやVWカブト虫(ムカシのビートル)などで、お馴染みです。国産車では、初代パブリカやその基本構造をそのまま踏襲したトヨタスポーツ800(ヨタ8) などが有名。マイナーどころでは、一時期ミョーに名前の出てきた、旧東ドイツ製の「トラバント」や、旧チェコスロバキア製の「タトラ」各車(このタトラには、空冷V8エンジンなんてとんでもないのがある)など、 東欧圏のさむーい地域では、つい最近までポピュラーな冷却構造でした。これは前述のオーバークールに対処するための、一番安価で確実な構造だからです。合衆国の北部地域で、先のVWビートルが60年代に 爆発的に売れましたが、こんなところも好まれたのかもしれませんね(まあ、有名な、DDB製の広告も効いたんだろうけど)。

 ところで、「水冷」による冷却方式のおかげで、室内のヒーティングを行なっているということを、「なんとはなしに」ご存知かと思いますが、これについても少々解説をしておこうと思います。 エンジンで(結果的に)温められた冷却水は、「水」という言葉の持つ言語感覚からは程遠く、ほとんど「熱湯」の領域に突入しているわけですが、これを利用しないのは、なんとももったいないというわけで、 室内の暖房装置の熱源として再利用しているんです。近年の自動車におけるエアーコンディショニングは、暖房(熱風)は、この冷却水熱源方式、冷房は冷媒(いわゆるフロンガスR12とかR134)が (圧縮されることにより)気体から液体になったり、(常圧に戻るとき)液体から気体になるときにおこる物理的性質(潜熱)を利用したシステム(この正逆の循環を両方使うのが、家庭用エアコンの原理)のうち、 後者の性質のみを抽出したもので、この熱源(ヒーターコア)と冷気発生源(エバポレーター)を同じ箱に入れ、この熱気や冷気の出し具合(?)を調節しながら、ブロアーにて送風するというしくみになっています。 この「熱気や冷気の出し具合」を運転者自らがツマミなどを調節しながら「いい塩梅」にしなければならないのが、「マニュアルエアコン」で、コンピューターが自動制御するのが「オートエアコン」というわけです。

 まっ、マセラティのエアコンシステム全体のおハナシは別項を設けて、「もっと突っ込んで」ヤリますので、ここでは、冷却水路に関連する、ヒーター部分についてのみご説明しておきます。

 ガンディーニクアトロポルテのエアコンは、一応(笑)「オートエアコン」です。で、その中のヒーター部はこんな動きをしています。

 室内の温度が実測10℃(冬ね)だとしましょう、あなたがエアコンのスイッチをONにしますと、ダッシュボードに取り付けられた(ステアリングコラムの右にある、直径3cmくらいの樹脂スリットの内部) 室温センサーが室内温度を検知して、エアコンコントロールユニット内のコンピューターが、そのON信号を室内のヒーターコックに送ります、しからば、そのコックが全開し、ヒーターコア内には、すでにエンジン を巡り温められた冷却水が一気に流れ込みます。そこで、ヒーターコアのアルミフィンより放出された熱気はブロアーによって、室内に送られて「ぬくぬく」になってくるわけです。しばらくいたしますと今度は 「暑すぎ」になってきますので、それを感知したセンサーは「幾らかコックを閉めよ」と指令せよとコンピューターをつつきます(笑)。コンピューターはヒーターコックに「ちょっと閉めてね」と信号を送ります。 で、コックが閉まってくると、ヒーターコア内に送り込まれる「熱水」の量が少なくなりますので、暖める力が弱くなるというわけです。

 逆に、真夏などは、常にコックに送られる指令は「全閉にせよ」になってますから、このヒーターコックが動作する機会がまったく無くなっちゃうわけです。それが、木枯らしも吹く頃になると「アダ」となり、 「えーん、寒いよー(泣)」になってしまうコトがある。これが、「ヒーターコックのロック(固着)」という症状で、マセラティでも時々起こり得るものです。基本的には「コック」ですから、水路を開閉させる メカなんですが、これをほぼ無段階に微妙に開けたり閉めたりさせる部分が電動なわけです。で、意外なことに、というか、珍しくというか、電動部分はあんまり壊れない(フォルクスワーゲン・アウディ用だから: でも、コック部との結合方法の違いがあるので、大改造が必要で、そのままでは、マセラティには使えません。念のため:泣)。メカの部分のコック軸が固まって動かなくなってしまうんです。 まあ、いつも水気の中に浸かっているわけですから、いたしかたありませんね。

 別項のラジエターやら、ヒーターホースやらのおハナシのところでマセラティのオーバーヒート直前時の対応について述べましたが、世間一般で云われている、オーバーヒート時の対応法の一つが 「ヒーターを最強(全開)にせよ」という理由が、上記の説明の中にあるわけです。ヒーターコアもエンジンにとっては、サブラジエターの働きをしていると云えるからです。但し、マセラティの オーバーヒート時においては、余り有効ではない(ヒーターコアの物理的放熱量くらいでは、とうてい助けにならんから)んです。まあ、幾らかの気休めにはなりましょうが(笑)。

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 ここからは、じゃ、「空冷」のクルマは、ヒーターどーなってんの?というハナシ。無いんですヨ、本当は(笑)。昨日ハナシに出た、パブリカとか、他にもマツダR360クーペやスバル360、 ホンダN360などは、オプションの「燃焼式ヒーター」という、ほとんど「ストーブ状態(笑)」のものを燃やしながら走っていました。ムカシのヒトは偉い!酸欠になるなよ(笑)。ポルシェやVWビートルなどは、 エキゾーストの排気熱を利用した「熱交換式ヒーター」を装備。シンプルですが、東京程度の寒さならコレで充分しのげます。北米や北欧では・・・やっぱり「燃焼式ヒーター」なんだろな(笑)。

クアトロポルテと暮らしてみませんか・・・エンジンについて④に続く
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