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マセラティ ギブリ(型式:E-MG・極初期型GB)
マセラティ ギブリカップ(型式:E-MG)の詳細説明

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Last update:2010.05.10

注記:本稿におけるギブリは、マセラティの歴史上で2代目に相当する、
いわゆる「ガンディーニルック」デザインのモデルを指しております。

ギブリ選びは慎重に

 素晴らしい超高性能と、ガンディーニの造形体が融合したギブリ。クルマが好きな方なら、一度はガレージに置いてみたい羨望のマシンの一台ではなかろうかと思います。新車登場時より、 初期型で16年、最終ロットでも、製造から10年以上を経過しておりますので、現在の中古車市場には、キチンとしたものがほとんど現れなくなってしまったのは、寂しい限りです。 実用性能も充分であり、信頼性も向上したギブリは、それだけに普通に日常の足として酷使されてきた個体も多く、これから手にいれようと思う向きは、極めて慎重にマシン選びをするべきです。 現在のマイクロ・デポでは、安心してギブリを楽しんで頂けるよう、厳選に厳選を重ねて商品車選びをしておりますので、なかなかギブリが入荷いたしません。皆さんのご期待に沿えずに申し訳ない思いでおります。

 ギブリは、製造年次によって、かなり細かい差異があります。以下におそらくは本邦で初めてその詳細を分類しておきましたが、ご購入にあたっては、あまりピンポイントなモデルに拘らないのが鉄則です。 あくまでも「程度重視」で選びましょう。内外装色なども、お気持ちはわかりますが、「縁(えん)」を大事にして頂けますと有り難いです。当店では、ギブリ全モデルをパーフェクトに近い状態に仕上げることが可能です。 その信頼性は新車時を凌ぐと思われます。思い切って飛び込んでみては如何でしょう。


ギブリ変遷の概要

 初めて出現した「初期型ギブリ」においては、未だ、「ダイレクトイグニッションコイル」が装備されておらず、点火系統にはディストリビューターが存在します(ですから、プラグコードもあります)。 要は、「222 4v」の心臓そのままということです。国土交通省への型式認定届けも「E-GB」となっており、のちの全型に共通する型式呼称「E-MG」と異なります。また、発売当初の5速マニュアルミッション 装備車を、俗に「ギブリGT」と呼称していた時期が業界内にあったようですが、ディーラーに聞いてみたところでは、その呼称を用いて販売した事実は無いようです(ですから、当店でも、過去にこの呼称を用いて初期型を販売した ことはありません)。このギブリはまったく同じ名前のまま、大きな宣伝も、マスコミ動員も無く、渋くマイナーチェンジをしながら、6年間程度新車販売をされていましたので、時が経った今では、その変遷や呼称について の記憶がそうとうアヤシクなってきていると思われますので、年次仕様の違いに伴う変更点を、専門店の視点を交えて大胆に整頓しておきたいと思います。以下、説明の便宜上6種類に分類します。

      ①:初期型
      ②:前期型
      ③:中期型
      ④:後期型
      ⑤:最終型
      ⑥:カップ


ボディ外観の変遷

・①~⑥全型を通じて、ボディの基本フォルムや細部造形は不変。・ボンネットの通気口が、金属メッシュ(ネット状のレーシーなもの:シャマルに準ずる)であったが、③④⑤⑥では樹脂製のスリット状造形になる。

・エンブレム。
①と②では、フロントグリルとトランク中央の「トライデントマーク」にアーモンド型の枠がついていない。また、トランク右側に「Ghibli」ロゴエンブレムが貼られている。
③④⑤⑥には、トランクの「Ghibli」ロゴが無い。また、前後のトライデントマークにアーモンド型の枠がある。

・左右ドアミラーの形状変更。
①②③では、222時代同様の先端が尖ったアヴァンギャルドな形状の非可倒・脱落式電動リモコンミラーがそのまま採用されていた。④⑤⑥では、電動可倒式化され、常識的な四角い形状のものになった。

・アルミホイールの違い。
①と②では、222 4vと共用の16インチ星型スポークホイール。
③④⑤では、16インチの「ウネウネした」立体的造形のギブリ専用ホイールが基本。
7本スポークの17インチホイールは⑤時期のマニュアルミッション車専用で、これを装備しているのが、メーカーが云う「ギブリGT」。⑥はカップ専用のスピードライン製17インチ3ピースホイール。後述するブレーキの相違により、 「⑤⑥に付くモノは、①②③④に付くが、①②③④用のモノは⑤⑥に付かない」という、「ギブリアルミホイールの法則」があります。


内装意匠の変遷

・①~⑥全型を通じて、内装の基本意匠や細部造形は不変。

・ダッシュボードウッドパネル上のロゴ。
①と②の初期ロットまで、「maserati筆記体」ロゴのものが存在する(222系とは互換性があるにはあるが、形状・肉厚等、基本的には別物)。②の後半から③④⑤では、 「Ghibli筆記体」ロゴになる。⑥では、ウッドパネル表面にカーボン調装飾が施され、一切のロゴが省略されている。

・皮革素材若しくは仕上げの違い。
①②③④時の内装用皮革素材は各色ともに、222時代の質感を踏襲している。皮革が肉厚でシッカリしている。⑤⑥時の皮革素材は肉が薄く、より繊細な感じ。ドアの内張りなども、 詰め物のウレタンフォームを厚くしてある様子。触感も全体的に柔らかい。また、明らかに室内の皮革臭が違う。この時期のものを、コノリーレザーと称する向きもあるようだが、事実関係は不明。この⑤⑥時の内装の造りは全体的に 緩いタッチの縫製になっている感じがする。

・カーペット。
①②時は222時代を継承する、粗めハウンドトゥース(犬の歯型)柄チェック地。
③④⑤⑥時は無地。それに伴い、ボディドア開口部のウエザーストリッブの内側トリムに相違があり、①②時はそれぞれの内装色調に合わせたカラードトリムが貼られていた。
③④⑤⑥時は、内装色の如何に関わらず、黒トリム一色となっている(例外も存在する)。

・オートエアコンのタッチパネルのスイッチ。
①②③④では、スイッチ各々が四角い形状。
⑤⑥時にはオーバル型デザイン(クアトロポルテ後期型と互換性あり)に変更。

・金時計の盤面には複数のデザインがあることが判明しているが、相対関係は不明。

・⑤⑥にのみ、リアオーバーヘッドコンソールの窓側にハイマウントストップランプを装備。

      

エンジン周りの変更

・点火システムの違い。
①では、ディストリビューターを用いた古来からの方式。これは、222 4vエンジンをそのまま踏襲した、片バンク三気筒ずつを二つのイグニッションコイルが分担して点火させるシステム。
②③④⑤⑥では、ダイレクトイグニッションコイルを採用。各コイルはプラグコードを経ず、スパークプラグの直上に直接配置され、その6つのコイルの一つ一つに相対するイグナイターを個別に与え、コンピュータからの ダイレクトな指令により点火タイミングを制御するという、極めてゴージャスな点火装置。

・エンジンオイルクーラー。
①②には未装備。③④⑤⑥に装備。


駆動系の変更

・4速オートマティックトランスミッションは222時代を継承するZF(独)製、「4HP22型」で全型共通。
マニュアルミッションは全型を通じてゲトラーク(独)製トランスミッションを採用。
①②③④では5速。⑤⑥では6速。このマニュアルミッションの変遷に伴い、5速時期のモノを「前期型」6速時期のものを「後期型」と大雑把に分類する向きもあるから注意が必要。

・デファレンシャルギア。
①②③④が、222時代を継承するレンジャーデフ(デフオイルクーラー付き)を装備。
⑤⑥では、まったく新設計のギアボックスを装備。これが、フェラーリ456GTと共用であるとされ、俗に「フェラーリデフ」と呼ばれるもの。ガンディーニのクアトロポルテには、初期型より、このデフが付いている。


足回りの変更

・フロントの足回りでは、スタビライザーの取り付け方法に、①②と③④⑤⑥で違いがある。
前者では、222時代のものを若干アレンジしたもの。後者は「コネクティングロッド」と称する「自在ピロアーム」を用いて上下方向を決めて組み立てる凝った設計。

・リアの足回りは前述のデファレンシャルギアと関連して、ギブリのすべての変遷中、著しく差異のあるところ。
①②③④では、222系譲りの鋼板プレス製のサブフレームとアーム採用。⑤⑥では鋼管(パイプ)組みによる、サブフレーム&アームを採用。これにより、①②③④期と⑤⑥期では、走行感に大きな違いが生まれている。 盲目的に⑤⑥車を「推す」向きもあるようだが、①②③④期のソリッドな切れ味のあるダイレクトな走行感は、それを維持させるだけの技術力があれば、非常に得がたい爽快なものである(①②では特に222 4vのソレに近く、 走り屋には大変好ましく思えるものであろう)。⑤⑥期のものは、デファレンシャルギアの信頼性もあり、初心者には取っ付き易かろう。乗り味はシットリとして、ひたすらシルキーである(カップも同様)。 ①②③④期のギブリは、FRのスポーツカーで、⑤⑥期のそれは超高速グランツーリスモであるとの、私見を述べておく。どちらも素晴らしい。


ブレーキシステムの変更

・ABSの有無。
①②に未装備。③④⑤⑥にはボッシュ(独)製ABSを全型で装備。メーカーでは、③期以降のABS装備車をワークショップマニュアルでは特に「Ghibli ABS」と呼称。
前述のフロント足回りの構造変更や後述する、電気周りの大改編と併せて、メーカーサイドでは、③時期が設計上の大きな転換点であったことを匂わせる。類推すると、①②時期のギブリは、フィアット介入前に大半の 原設計が完成されていたと思しく、「デ・トマソイズム」に溢れている。③の時点からのものでは、後に日ならずして出現する、「ガンディーニルック・クアトロポルテ」と電気周りやブレーキシステムがまったく 同一理念であった事実を思い併せれば、①②で時間稼ぎをしている間に、フィアットの旗の下、③が開発されていた事は容易に想像できる。

・キャリパーの相違。
①②では前後すべてのブレーキキャリパーがAte(独)製であり、これは、デ・トマソ期のものを継承した、BMW用が由来のものである。タッチ、制動力、耐フェード性のいずれをとっても、合格点があたえられる。 ③④はABS装備に伴い、同じくAte製と思われる、BMW用の流用品で、各部のマーキング刻印をスリ落としたり、埋めたりして、一見それと分からぬように加工を施して使用している。 ガンディーニ・クアトロポルテの前期型までと共用の物。⑤時期は、前述の③④期のキャリパーを使用したものと、新採用のブレンボ(伊)キャリパーを使用したものが混在している。この新しいブレンボキャリパーは つや有りの黒で表面処理が施され、「maserati筆記体」ロゴのマーキングが目立つように付いている。強力な制動性能の代償か、このブレンボ製キャリパー装着車は、ブレーキ作動時の「鳴き」が顕著であるのが 特徴である。⑥に至っては、さらに謎が多く、フロントにブレンボを用い、リアにはAteが付いているといった具合に一台に混在しているマシンを複数確認している。前述のブレーキ鳴き対策として、ディーラーが施した 対策の一つなのかもしれないと推測する。

・ローターの相違。
①②時期のものに比べ、③④⑤⑥期のものは、大径化されている。前述のように、③④期と⑤そして⑥は、少なくともフロントキャリパーに相違が見られるが、大径化されたローターは共用である。 ⑤⑥期のローターに、ガンディーニ・クアトロポルテエボ前、後期型以降に使われた、ドリルドローターが装着されているケースも少なからずありうる。

・以上のローター及びキャリパーの組み合わせの中で、最終期の⑤⑥にある、ブレンボキャリパー採用車(6速マニュアルミッション車)には、前述の7本スポークの「GT用ホイール」か、カップ専用の3ピースホイールしか取り付けができないと思われる。
メーカーの出しているパーツリストには、一見、カップ用と思しき見た目の「GT用(OZ製)」と称するホイールが、前述の7本スポーク品とは別に併記してあり、過去に当店顧客のオーダーにより、ディーラーを通じて本品を取り寄せ、 ブレンボキャリパー付き車への取り付けを試みたことがあるが、取り付け不能であった。尚、この「OZ製GTホイール」は、メーカー純正品ではあるが、日本仕様のディーラー物には存在しなかったものである。


エアコンシステムの変更

・①②時期では、冷媒にフロンR12を使用。③④⑤⑥では、ノンフロンR134を使用。
コンプレッサーはセイコー精機(日本:現セイコーインダストリー)製で、222時代から引き継がれ、全型共通。
エキスパンションバルブには3種あり、一期目のものは①②で、他社品で代用が可能。二期目のものは③④でブロック型、旧いメルセデス用に同等品があるとされ、三期目のものは⑤⑥デンソー製のブロック型。
ちなみに、三期目のものは、「デンソー」ブランドに対する信頼感から、つい耐久性を期待してしまうが、一期目のものが、一番安定感があったように思う。メインユニットの基本的な構成と、エバポレーター、 ヒーターコア、ブロアーモーターは全型共通。
但し、エバポレーターのエキスパンションバルブ取り付け口の形状が、それぞれの時代のエキスパンションバルブに対応した形になっているので、この部分の互換性はないといえる。冷房の効き、暖房の効きともに、 当時の欧州車の水準以上のもので、現代にあっても、許容されるレベルにあるのは、特記してよかろう。ブロアーモーターの動作音は比較的過大で、これは現代の日本車に慣らされた向きには、騒々しく感じられよう。


メインヒューズボックス&電装周りの変更

・デ・トマソ時代に最大のアキレス腱とされていた、メインヒューズボックスは①②時期まで、旧来のものを継承していたが、③時期に全面的に変更され、すべての電装品の信頼性は格段に向上した。
マイクロ・デポでは、①②時期のギブリやそれ以前のデ・トマソ期モデルを販売する場合には、別途オプションとして、このメインヒューズボックスを根源的に対策する方法論を確立しているので、心配は無用である。


フューエルポンプとタンクの相違

・①②の時期は、デ・トマソ期ビトルボのものをそのまま踏襲した、後部左側アンダーフロアに取り付ける「そと付け式」。③④⑤⑥では、「インタンク式」を採用。但し、③④と⑤⑥では、ストレーナーの取り付け位置と、 床下フューエルラインの取り回しがまったく異なる。それに伴って、①②時期、③④時期、⑤⑥時期のそれぞれに相対する、少なくとも3種類のフューエルタンクの存在を確認している。ポンプは全型に亘ってボッシュ製である。


マセラティ ギブリ主要諸元

(下記諸元中[ ]内は後期型・{ }内はギブリカップ)

・ボディ形状:2ドアクーペ
・全長/全幅/全高:4215mm/1775mm/1310mm[1300mm]
・ホイールベース:2515mm ・トレッド(F/R):1515mm/1510mm
・車輌重量:1440kg(4AT)[1450kg(4AT)] 1430kg(5MT)[1440kg(6MT)]
       {1440kg(6MT)}
・乗車定員:5人
・エンジン形式:水冷90度V型6気筒DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボ
・ボア×ストローク:φ94.0mm×67.0mm
・総排気量:2789cc ・圧縮比:7.4:1
・最高出力:280PS/5500rpm[285PS/6000rpm]{305PS/6100rpm}(DIN)
・最大トルク:44.0kgm/3750rpm[42.0kgm/3500rpm]{42.0kgm/3500rpm}(DIN)
・燃料供給:電子制御燃料噴射
・点火装置:フルトランジスタ[電子制御ダイレクトイグニッション]
・燃料タンク容量:80L
・燃料種類:無鉛ハイオクガソリン
・トランスミッション形式:4段オートマティックトランスミッションor5段[6段]マニュアルトランスミッション
・ステアリング形式:ラックアンドピニオン パワーアシスト付
・サスペンション形式(フロント):マクファーソンストラット+コイル独立 4段調整ダンパー アンチロールバー
・サスペンション形式(リア):セミトレーリングアーム+コイル独立 4段調整ダンパー アンチロールバー
・ブレーキ(F/R):ベンチレーティッドディスク/ベンチレーティッドディスク [ABS]
           {ドリルドベンチレーティッドディスク/ベンチレーティッドディスク ABS}
・ホイール+タイヤ(フロント):7J×16+205/45ZR16 [8J×17+215/45ZR17(6MT車)]
                 {8J×17+215/45ZR17}
・ホイール+タイヤ(リア):8J×16+225/45ZR16 [9J×17+245/40ZR17(6MT車)]
               {9J×17+245/40ZR17}


標準装備品(日本版カタログ記載による:原文ママ)

・オートマチックエアコンディショナー
・AM・FMラジオ付カセットステレオ
・フロントパワーウインドウ
・パワーステアリング
・センタードアロック
・フォグランプ
・外気温度計
・チルトステアリング
・アルミホイール
・[ABS]
・電動ドアミラー
・レザーシート
・電動リクライニングシート
・アジャスタブルサスペンション [後期型においてはギブリカップと6MT車のみ装備]

ボディカラー(ギブリの標準色:ギブリカップは非該当)

・Blu Sera(ブルー・セラ)「いわゆる濃紺メタ」
・Grigio Vulcano(グリジオ・ヴァルカーノ)「いわゆる黒メタもしくはガンメタ」
・Nero Sideral(ネロ・シドラル)「いわゆる黒」
・Rosso Maserati(ロッソ・マセラーティ)「いわゆる赤」

  

ご購入にあたり、より詳しくギブリについて知りたい方は、遠慮なく御来店ください。御待ち申し上げております。


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