Last update:2010.05.10
この3200GTこそ、フェラーリ期に入ってから企画された、まったく新設計のマシンであると云えましょう。そこには、もはやデ・トマソ時代の ビトルボシリーズの痕跡は、よくも悪しきも、ほとんど残っておりません。このマシンは見た目こそ獰猛なスーパーカーのそれですが、その名にいみじくも名乗っているように、 「生粋のグランツーリスモ」の性格付けがなされています。直線道路では、その圧倒的パワーとトルクにモノを云わせた「離陸感覚」。現代の高性能マシン(例えば、マセラティ グランツーリスモSのような)では不可欠となっている各種電子制御デバイスの装着もまだまだ未成熟な段階の時期に生を受けたため、乗り味は意外にも豪快。もちろん、 混んだ市街地を「デレデレ」と「馬なり」に走リ続けても、ぐずらない「エンジン制御」は、この超高性能車にあっては見事のひとこと。一たび空いた高速道路に出れば、 どこまでも走って行きたくなります。私見ですが、このマシンに関しては、超扁平タイヤと18インチ鋳造アルミホイールの重量がいかにも重過ぎると感じます。せめて、 メーカーオプションで超軽量鍛造ホイールの設定があればと悔やまれます。バネ下重量を軽くすれば、「峠のダンス」も楽しかろうに。車体をリフトアップしてみると、 デ・トマソ期やフィアット期のどのモデルよりも、足回り部材の軽量化・高級化が徹底しているのが分かるだけに(ホント美しい足回りです)、もう100万円高価になっても 軽量ホイールは欲しかったところです。ともあれ、どこから眺めても美しく、乗って豪快な持ってて嬉しいマシンです。ビトルボ一族の最終ランナーとして、長く後世に残る マセラティになりそうですね。信頼性が上がった分、中古車市場では「過走行車」が増えてきています。価格も落ち着いてまいりました。一度手に入れてみたい向きには、お早めのご購入をお奨めしておきます。
主要諸元
・ボディ形状:2ドアクーペ
・全長/全幅/全高:4510mm/1822mm/1305mm
・ホイールベース:2660mm ・トレッド(F/R):1525mm/1538mm
・車輌重量:1590kg(6MT)
・乗車定員:4人
・エンジン形式:水冷90度V型8気筒DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボ(IHI TTW9) ・ボア×ストローク:φ80.0mm×80.0mm
・総排気量:3217cc
・圧縮比:7.5:1
・最高出力:370PS/6250rpm(DIN)
・最大トルク:50.0kgm/4500rpm(DIN)
・燃料供給:マニエッティ・マレリ電子制御燃料噴射
・点火装置:電子制御ダイレクトイグニッション
・燃料タンク容量:
・燃料種類:無鉛ハイオクガソリン
・トランスミッション形式:4段オートマティックトランスミッション(BTR)
or6段マニュアルトランスミッション(ゲトラーク/タイプ226)
・ステアリング形式:ラックアンドピニオン パワーアシスト付
・サスペンション形式(フロント):ダブルウイッシュボーン+コイル独立 14段電子制御ダンパー
・サスペンション形式(リア):ダブルウイッシュボーン+コイル独立 14段電子制御ダンパー
・ブレーキ(F/R):ドリルドベンチレーティッドディスク/ベンチレーティッドディスク ABS(4チャン)
・ホイール+タイヤ(フロント):8J×18+225/45ZR18
・ホイール+タイヤ(リア):9J×18+245/40ZR18
標準装備品(日本版カタログ記載による:原文ママ)
・オートマチックエアコンディショナー
・AM・FMラジオ付カセットステレオ
・フロントパワーウインドウ
・パワーステアリング
・センタードアロック
・フォグランプ
・外気温度計
・チルトステアリング
・アルミホイール
・ABS
・電動ドアミラー
・レザーシート
・電動リクライニングシート
・アジャスタブルサスペンション {V8のみ}
・CDチェンジャー
ボディカラー(標準色)
・Bianco Alpi(ビアンコ・アルピ)「いわゆる白」
・Rosso Oriente(ロッソ・オリエンテ)「いわゆるエンジ」
・Grigio Silver(グリジオ・シルバー)「いわゆるシルバーグレー」
・Verde Tundra(ベルデ・ツンドラ)「いわゆるガンメタ」
・Blu Ministeriale(ブルー・ミニスタリアーレ)「いわゆる濃紺メタ」
・Nero Sideral(ネロ・シドラル)「いわゆる黒」
・Grigio Vulcano(グリジオ・ヴァルカーノ)「いわゆる黒メタ」
・Blu Night(ブルー・ナイト)「いわゆる濃紺」
・Blu Sera(ブルー・セラ)「いわゆる紺メタ」